誰にもあげない [自作の詩]
茶色の甘くて苦い物体を
今年も今か今かと待ち続けていたけれど
やっぱり来ませんでした(残念!)
あの子の動きを観察してても
持ってきているような甘い感じはしなかったので
それだったらいいかと無理やり納得しました(いいのか!)
隣にいる奴も前にいる奴も男ばっかで
あの子の視界に入るヤツ皆全て
一旦どっかによけておこうかと考えましたが(物騒!)
やっぱりあの子に嫌われたくはないので
このままでいるしかないかと
渋々静観することにしました(ドンマイ!)
心臓に良くない日が過ぎた後は
気が抜けてしまうほどいつも通りで
また来年もあるさと苦笑いでごまかしました(いつも通り!)
部活で一緒のあの子の隣
今日はなんとか確保できて
浮かれ気分で猛ダッシュ(落ち着け!)
上手とはいえない話にも笑ってくれる
あの子の笑顔を見れただけで
チョコなんてどうでもいいかと紛らわし(本当に!)
ぽかぽかしたガラス越しの陽気味わいながら
ビーカーとフラスコに突然現れた小さな虹に
二人一緒に目を輝かせ(まあいっか!)
うきうき気分がぷかぷか
なおかつ沈殿したもやもや忘れられずに
すぐ来た帰り支度寂しく思いながら(早いね!)
緑の黒髪閃かせ
あの子が余っちゃったんだとはにかみながら
小さな小さな青い包みを差し出しました(なんと!)
友チョコって数が多いからさ
自分で食べるのも味気ないしねなんて
せっかくの彼女の言葉なのに耳を素通り(勿体無い!)
それに気づいた目ざといヤツが
いいないいなと羨ましそうに囃したて
もうないんだよねという言葉に胸張りながら(当然!)
じゃあそれ分けたらいいじゃん
その言葉は死刑宣告ですかなんて
思った矢先に突進してくるヤツの攻撃かわし(あつかましい!)
隙見て一つだけ口に放り込む
美味い!本当に有難うと言い残して
奪われないうちにさっさと帰ろう(貴重!)
願わくば来年は
その日にもらえますように
それかその日までに告白できますようにと(できるか!)
ヘタレと笑え 決戦は一ヵ月後!
どうか忘れないでいて
そして奪われないでいて 愛しい人
ヒト、ミライ [自作の詩]
止め処なく流れていくこの時間は
ずっと変わらないはずなのに
最近 加速しているように感じるのは何故なんだろう
流れる小川に澄み渡る青空
柔らかく差し込む光に銀色に輝く鋭い光
気まぐれに流れていく雲たちとそれらを吹き飛ばす風
それにつかまってふわりと踊りだす木の葉たちは
わたしに何を与えてくれただろう
あなたに微笑を
そう話しかけてもらっているかのように心地よくて
時には感動し 時には恐れ 時には笑い
そうであれば 人は何を残してくれた
必ずしも何かを貰えるわけではないけれど 自分もあげているわけではないけれど
いつも苦しいことばかり でもどこかに潤いはあって
笑顔がどこかに隠れてて
良い出会いや良くない出会いも 一瞬の関わりしかない人だっていたけれど
私の中には いつも何かが残りました
それならば それを全部避けて見過ごしたら
私 このまま笑顔でいられるのでしょうか
今ここに在る 自分がしているいろんなこと
一つ一つすべてが無駄なものではないと そう信じたい
未来に繋がる 何か大切なことだと信じたい
そう思えることをしていきたい
時間という宝物を 水たまりに捨てて後悔したくはない
泣いたことがない人がいないように
全ての感情も行いも無駄じゃないということで
感じた悔しさも もどかしさも 同じでしょう
色んなところを通ってきたけれど 誰かが支えてくれました
だからあなたも壊れないでいてくれて
そんなあなたが私を壊れないように包んでくれたから
私も歩いていける
子供だけじゃないよ
大人だって怖いんだよ
大人だけじゃないよ
子供だって我慢してるんだよ
小さい棘も大きい棘も痛いのには変わらなくて
どんな痛みも 自分が変われるチャンスだと そう思えるようになれるといい
酸っぱい経験も苦い経験も 味わえるようになったらいい
すべてが単純ではないけれど 自分の中で単純に変換できる術を培えたらいい
すべてが楽しい事ばかりではないけれど 相手も傷ついていたのだと察せられるようになれたらいい
少しでも 私の心が柔らかくなりますように
傷つけられたとしても笑って済ませられる私になれますように
そうしたらきっと いつの日か
気持ちを伝える難しさや もどかしさを抱えたままでも
伝える手間や感じる手間を惜しむことなく 耳を傾けてくれる人が増えていくことでしょう
ユビキリ ノ肆拾玖 [自作小説]
はあ、と吐いた息は全て湯気のようにもわりもわりと上へ上がっていった。やがてそれは闇色の空に溶けてなくなり、代わりに突き刺すように冷たい朝の空気が、体の隅々まで満たしていく。
「やっぱりこんな寒い日に朝から出歩くなんて、普通はやらんよねえ」
「俺たちに普通を求められてもな」
おおよそ基準というものから脱線している白梅に言われたくはなかったし、寒いといいながらもほんのちょっぴり嬉しそうな顔の露草は感覚がおかしいのではないかと疑いたくなる。
「馬に乗りたい」
「こんな風が強い日に? どうやったらそんな気持ちになるんじゃ」
現代日本の真っ只中でそんなことを言う露草はやはり変だったし、それに答えを返す白梅も頓珍漢な答えではあるので、結局は「お互い様」でいつも閉じられる。
しかし、この日ばかりは違った。
くだらない会話を交わしながら、それでもちょっと真剣みの漂う顔でいつものように歩いていたのに、いつもとは違う順路を二人して行ってみたくなった。
いつもは歩道橋の上で暫らく過ごすのが彼らの常だった。建物群の中から覗き見ることのできる朝日は、人工物と自然の境界を全て取り払ってくれる、いわば幻想的な世界の立役者だ。
その素晴らしい一幕を存分に楽しんでもよかったのだが、今日は少しばかり曇りである。雲の切れ間から覗くのもまた乙だとは思うが、今までも十分楽しんできた。
――ならば、こちらへ行こうか。
それはどちらから言い出しただろうか。ふと向いた方角が一緒だった。
幸いながら二人とも方向音痴というわけではなく、一時のねぐらになっている借家までたどり着けるだろう。どちらかが小さく頷いたのを合図に、赤いポストを目印にして右に曲がり、三本道の真ん中を歩いて、今度は左方向へと下って行った。
「柱時計はいいと思うんよ」
「何だいきなり」
「鳩時計でもいい。とにかくね、私は音のする時計が好きなんよ。秒針の音がかちかちいうやつやなくて、ゆっくりした調子の音と、時報の音。ロンドンの鐘の音とか好きやったなあ」
「・・・なるほど、英吉利でじっと見上げているから、何がそこまで気に入ったのかと思ってたんだが」
「露草は?」
「ん?」
「何か好きなものってある?」
「そうだな・・・」
カンカン、と甲高い音が響き渡った。
「踏み切り、か。あの音も嫌いじゃない」
「ええー、あの大きな連続音? 変わったものが好きなんやねえ」
「なんとなくお前に言われたくない」
「なんとなく失礼じゃと思わん?」
「いや全く」
カンカン、と甲高い音はまだ続く。
「どこが好き?」
「五月蝿くないところ、だろうか」
「えええー、それこそ全く分からんよ、五月蝿いじゃろ? 相当な大音量で」
「・・・ああ。音は大きいんだが、どうにもあの響く連続音は紛れてくるというか、一定のリズムが思考に入り込むというか・・・・・・何と表現したらいいのか分からん」
露草にしては珍しく言いよどむ。
「なんじゃ。全然分からん思てたけど、ようするに一緒なんやね」
「・・・・・・?」
「ようするに、私は時計の波打つような音の感じが好きじゃ。私には踏み切りは尖った音に聞こえるけど、露草には響きと波があって落ち着く音に聞こえる。ほら、同じことじゃ」
「そうかもな」
焦燥感を駆り立てられるようなテンポと、危機感を覚えるようなテンポではあるけども、聞きようによってはゆるゆると聞こえるのかもしれない。
むずがゆい気持ちを感じながらも、二人はまた歩いた。
いつまでも、あなたのもので。 [今日からマ王!]
いつだったかオレは、誰にも飼い馴らされませんよ、とおどけてみせた。
そうか、と貴方は興味が無さそうに、手元に視線を固定したままだった。
「じゃあ、そういうことでー。失礼しまーす」
「ヨザック、帰ってたのか」
「やっほー隊長」
ひらひらと手を振ると、幼馴染は糸が切れたように緩い笑いを見せた。
護衛役として始終くっついているあの人がいないから、今は帰宅中なのだと悟る。
「今回はどこに行ってたんだ?」
「んー・・・業務命令で、秘密。焼き鳥は美味かった」
ふうん、と相槌を打ちながら、大して考える素振りも見せずに答えを叩きだしたらしい。
閣下、これはオレのせいじゃありませんよ。貴方の弟さんが勝手に解答らしきものを探り当てたんですと
密かに言い訳をしながら、遠ざかっていく部屋の気配を思い出す。
「鳥の名産地といえばコッディか。あそこは悪名高い地方領主がいるところだったっけ?
またお得意の潜入捜査でもしてきたのか?」
「嫌そうな顔すんなよ。これでも結構成功率と情報収集率はいいんだぜ?」
「だから嫌なんだ」
「なんてこった。隊長ともあろうお人が情報把握の重要性を理解していないなんてー」
「嘘泣きはやめろ」
本気で嫌がっているらしい。
頭痛がしてきそうだとかいいながらわざとらしく米神を押さえる。いくら幼馴染でもあんまりだ。
眉根を寄せた顔を見ると、どこかで見たことのある顔に酷似していた。
本当にさり気なく血の結びつきを垣間見せさせられる兄弟だ。
「金ぴかは嫌だよな」
「どうした。いきなり」
「外装はそうでもないってのに、内装は高価な品ばっか。
しかもよくこれだけ趣味悪いモンを集められたなっていう」
「ああ・・・そういう貴族も中にはいるな」
「ほーんと、閣下がそういう人じゃなくて良かったよ。報告行く度に目をやられるぜ」
ピカピカしている背景にグウェンダル一人。妙に似合いそうでそれがまた恐ろしい。
「まあ、今でもある意味ではそうかもしれないけどね」
「あえて避けていたのに、ひどい弟ー!」
編みぐるみの話題は、ちょっとした爆弾だ。
本人に聞かれでもしたら、一週間くらい口を聞いてもらえないかもしれない。
最も試した事は無いから分からないけれど。
「しかし、そういう点ではよく生粋の貴族であるグウェンについたよな」
「ああ? 誰のせいだと思ってんだよ」
「苦情は聞き逃すとして」
「・・・・・・そういうの得意だもんな、アンタ」
「お前も、長く使われるとは思わなかったし。グウェンが長く使おうとするとは思わなかった」
確かにどちらも使えるものは使うやり手だけど、と零してからお茶を飲む姿に、
お前には言われたくないと密かに思う。
腹黒の称号を得ているのは間違いなく閣下でもわがままプーと呼ばれている閣下でも
汁閣下でもなく、目の前にいる彼だ。
「本当に、長く傍にいてくれてありがとう」
「どーしたんだよ」
「別に。グウェンは誤解されやすいから。その分ファンも多いみたいだけど」
「心酔する奴はとことんだから。おっと、危険人物認定しましたーって感じだな。オレは大丈夫だってェ」
オレは恐らく心酔しているというより、陶酔しているんだ。
ため息をつきたくなるほどの馬鹿に使われることほど不幸な事は無いけれど、
ため息をつきたくなるほどの手腕を発揮する者に使われることほど、楽しい事は無いんだから。
それと、いつまで経っても何をするか分からない、わくわくする上司も同じくらい楽しいかな。
そう言ってやったらますますコンラッドは渋い顔をした。
だからそれはやめろって。幾らしてもアンタがお兄様になるわけじゃないんだから。
歩こう [自作の詩]
暖かな午後の日差し
顔にも体にもたっぷりお日様浴びて
ちょっと冷たい秋の風だってへっちゃら
ぬくぬくとした陽気 小春日和で
本当に快適
まるでそう歌いだしそうな
夢見心地の午後の猫
ふっくらした毛にちらちらと当たる光が羨ましくて
のろのろと進めていた足をとうとう止めて じっと見つめた
暖かそう
気持ちよさそう
私もあなたみたいになりたいな
そう私も思われていたりするのかな
にこっといつも笑っている
それはどんなに難しいことだろう
泣きたくなったとき 怒り出したいときだって
感情を抑えているのは
本当に心から笑っている
いつもそんな時ばかりじゃない
友達と笑っていたって
自然に身についている笑顔を
ただ再生しているにすぎないこともある
ずっと生きていると
何か一生懸命走って ふと空を見上げると
自分は何をしているんだろうって思うときがある
何も目的のないまま
ああ 今日も一日が過ぎた良かったねって
ぼうっとして手探りで
もどかしさを感じながら歩き回っているせいで
本気で真剣に本当に人のためになれることを見つけて
その目標に向かって突き進んでいく
人は何かを達成しようとして
そのために頑張ろうとするとき
そこに喜びを見いだし
その瞬間人は大きな輝きを放ち
他の人にも多大な影響を与える
ぴゅうっと寒い風が吹く
今は私のところに日は射してないけれど
きっと必ず光がやってくる
やってこないなら明かりのほうへ私が行けばいい
そう思って上着のボタンをしっかり留めると
大きく足を踏み出した





